相続基礎知識Q&A

一生に何度とない相続手続き。そんな疑問をQ&A

 

Q:親が亡くなり相続が発生しました。何をどうしたらいいのでしょうか?

A:まずは死後7日以内に死亡届を提出します。年金、健康保険等の各種公的機関への手続きも必要です。特に公共料金等の引落し口座の変更、携帯電話の解約やインターネットといった月々支払いが発生している費用はできるだけ早めに解約変更手続きをしましょう。

死亡保険に加入している場合は、保険会社へ保険金の請求手続きも行ってください。

続いては戸籍謄本等を取得し、相続人を確定していきましょう。自宅の机の引出しや金庫といった保管場所から遺言書がないかを確認し、自宅にあった場合は自筆証書遺言なのか公正証書遺言なのでかで異なり、自筆証書遺言の遺言書の場合は未開封のまま家庭裁判所に検認手続きを依頼しましょう。自宅にない場合は、公証役場に行って「公正証書遺言検索システム」で探してみましょう。また相続財産に何があるかを把握しましょう。金融機関の通帳や各会社からの郵送物、不動産権利書、固定資産税評価証明書等を手掛かりに財産を特定していきます。

相続開始を知った日から3カ月以内(期限)に単純承認、限定承認、相続放棄を選択します。相続開始を知った日の翌日から4カ月以内(期限)に被相続人の準確定申告(所得税の申告・納付)を行います。

法定相続人同士で、故人の財産をどのように引き継ぐかを遺産分割協議にて決めていきます。(遺言書がある場合は遺言書が優先されます)

遺産分割協議が整えば、遺産分割協議書を作成し、相続財産(預貯金、有価証券、不動産等)の名義を変更・解約していきます。不動産の相続登記や相続税の申告には、遺産分割協議書が必要となります。賃料収入のある不動産については口座名義も相続人に変更する必要があります。

相続財産が一定額超えるようであれば、相続税の申告・納税が必要になります。

相続税の申告・納税は相続開始を知った翌日から10ヶ月以内(期限)となっております。

ほとんどの手続きや協議は相続人全員が関わることになり、納税期限の10ヶ月はあっという間に到来しますので、段取りよく行っていく必要がございます。

 

Q:相続財産はどこまでの範囲のことを言いますか?

A:相続財産とは、基本的には被相続人が所有していた財産すべてです。一般的ものとしては被相続人の預貯金、現金、不動産、証券、車、貴金属などがあります。この中で預貯金、不動産、証券、車などは相続手続きが必要になります。自宅にある家財も相続手続きは不要ですが、相続財産となります。物だけなく、被相続人が所有していた権利や義務も相続財産であるので、賃借権や借金などの債務も相続財産となります。ただし、墓地や仏壇仏具は非課税財産となります。生命保険金や退職金に関しては一部非課税となります。(500万円×法定相続人の数まで)

 

Q:相続税とはなんですか?誰もが納税するものですか?

A:相続税は、相続によって取得した財産及び贈与(相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算します。)により取得した財産の価額の合計額(債務などの金額を控除)が基礎控除額を超える場合にその超える部分(課税遺産総額)に対して、課税されます。

この場合、相続税の申告及び納税が必要となり、その期限は、被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。給与所得者の所得税のように勤務先が源泉徴収してくれることも、住民税のように適当な納税額が通知されることもありません。相続で基礎控除額を超えるような財産を引き継いだ場合には申告納税が必要になります。

 

Q:相続人には孫もはいるのですか?法定相続人とはなんですか?

A:法定相続人は被相続人の配偶者と血族を指します。配偶者は必ず相続人となる一方、その他の血族は優先順位が高い人が相続人になります。先順位の人がいる場合は後順位の人は相続人になれません。

・第1順位 子、代襲相続人(子がすでに死亡している場合の孫)

・第2順位 両親

・第3順位 兄弟姉妹、代襲相続人(子がすでに死亡している場合の姪、甥)

孫を養子縁組していた場合には代襲相続でなくても孫も第1順位になります。養子縁組に関して、民法上、養子は何人でもとることができます。一方で、相続税を計算する場合には、養子を相続人にカウントできる人数を限定しています。そのカウントは、実子がいる場合には、養子は一人まで、実子がいない場合には、養子は二人まで、と決まっています。

 

Q:相続税の基礎控除とはなんですか?

A:被相続人の財産を相続する際に相続税が課税されますが、基礎控除の金額内であれば相続税はかかりません。この場合は相続税の申告手続きも納税もおこなわなくて良いことになっております。基礎控除額は「3,000万円+法定相続人数×600万円」であり、基礎控除額は法定相続人の人数に異なります。

例)法定相続人が配偶者、子3人の場合

3,000万円+4人×600万円=5,400万円  基礎控除額5,400万円

 

法定相続人

基礎控除額

1人

3,600万円

2人

4,200万円

3人

4,800万円

4人

5,400万円

5人

6,000万円

※平成27年1月1日の税制改正により、相続税の基礎控除額は引き下げられました。上記基礎控除は以後の控除額となります。

 

Q:不動産を相続したときの金額はどのように決まるのですか?

A:不動産を相続した時の不動産の価値は相続税評価額によって金額化されます。土地に関しては国税庁が発表している財産評価基準書の路線価図や評価倍率表を元にして金額を算出します。建物に関しては市町村が算出している固定資産税評価額を元に算出いたします。単に評価額イコールではなく、実際は土地も建物も利用の仕方や権利関係によって相続税評価額が変動します。算出にはひとつひとつの土地、建物ごとで具体的に計算していく必要がございます。算出に関しては税務署や税理士にご相談ください。

 

Q:実際の売買金額と相続税評価額は異なるのですか?

A:実際に取引が成立したときの価格を実勢価格といいます。不動産であれば販売価格から交渉等で値段が変わることがありますので、販売価格=実勢価格にはなりません。実勢価格は市場の状況によって値段が変わります。不動産の相続税評価額は基準となる路線価や固定資産税評価で算出されますので、交渉や市場の状況による価格変動は生じません。

①公示地価(公示価格)
「公示地価」は、国土交通省が主体となって、毎年1月1日の評価が、3月中旬頃に公表されます。1カ所につき2人以上の不動産鑑定士が鑑定しそれぞれの鑑定結果を加味した上で決定され、基本的に対象は都市計画区域内となっていますが、都市計画区域以外でも不動産の取引が行われると予想される土地に関しては鑑定が行われます。

公示地価は公共事業用地の取得価格算定の基準となり、「一般の土地取引価格に対する指標となること」などが目的とされているため、その土地のもつ価値を最大限に評価するよう鑑定が行われます。

②基準地価
「基準地価」は、各都道府県が主体となって毎年7月1日の評価が9月下旬頃に公表されます。基準地価の評価方法は公示地価とほぼ同じですが、都市計画区域内以外も含まれる点、公示地価では2人以上である不動産鑑定士が1人以上という点が異なります。

一部公示地価と同地点での評価もあるため、1月1日時点の「公示地価」と7月1日時点の「基準地価」を比較することによって半年ごとの評価の動向を計ることもできます。

③路線価
路線価は公示地価の約8割が評価額の目安とされており、路線価は一定の距離内での価格となり国税庁によって決定されます。個々の土地に関しての価格は、路線価を基準に土地の形状に応じて決められていきます。路線価には、相続税路線価と固定資産税路線価の2つがあります。路線価と呼ぶときは基本的には相続税路線価を指します。

④固定資産税評価額

固定資産税評価額は公示地価の約7割が評価額の目安とされており、市町村が主体となって3年に1度評価替えをおこなっております。固定資産税評価額は固定資産税、不動産取得税、登録免許税などの算定基準となっております。

 

Q:相続不動産を売却したい場合、分割したい場合どうしたらよいのですか?

A:相続不動産を売却する場合、被相続人の所有権のままでは売却できません。相続人全員で遺産分割協議を行った後、相続する不動産ごとに、引き継ぐ相続人の名義に不動産登記(相続登記)をして売却することになります。相続登記後の売却に関しては一般的な売却手続きと同様になります。不動産は相続財産の中でも高額なものであり、ひとつの不動産を相続人同士で分けて相続することも必要となります。この建物は兄、この土地は弟とそれぞれの不動産をキレイに分割することができる場合(現物分割)は良いですが、分割できない場合は持ち分を共有にするやり方もありますが、後々トラブルとなること多いので、相続不動産を売却して現金で分け合う換価分割にすることが良いでしょう。換価分割の場合は一旦相続人の一人を代表者として代表者の名義で相続登記を行い、不動産を売却します。代表者が受領した売買金額を相続人で分割します。

 

 

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